あっちゃんの望み。
「それでさ。」
あっちゃんは言う。
「私さ、もう普通がいいわけ。」
島田さんは、うなづく。
「なんにもいらないわけ。シマがいたら。
シマがいなくてもいいよ。いなくなっても私はその日からビール飲んでると思うよ。食べられるかはわからないけど。
とにかく、私は私しかいらないわけ。私だっているかわからない。
なんにも、もうなんにもいらないのね。
あなたのことも、いなくなったら忘れてしまうよ。
いたら好きだけど。
いなくなっても好きだろうけど。
でも、私はシマも島田さんも、いなくなったらいなくなったで、受け入れてすぐ普通に戻ってしまうよ。
それでもいい?」
島田さんは、笑おうとした。
けれど、涙が出た。
「それって、俺とシマをすごく好きだってことだろ?」
と言った。
「好きだよ。今日の晩御飯にしてもいいよ。」
と、あどけない表情であっちゃんは言った。